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【現場で迷わない】ADHDと”怠け癖”の違い|保育士が知っておきたい対応術

※本記事にはプロモーションが含まれています

子どもたちと関わる中で、「この子、やる気がないのかな?」「怠けてるだけなのでは?」と感じたことはありませんか?

同じ年齢の子どもと比べて、

  • なかなか活動に取り組めない
  • 指示を聞いても動き出せない
  • すぐに他のことに気が散ってしまう

…そんな様子を見ていると、つい「もっと頑張ってほしい」と思ってしまうのは自然なことです。

 

でも、もしかしたらその子の行動の背景には、本人の意思とは関係のない「特性」があるかもしれません。特にADHD(注意欠如・多動性障害)の特性を持つ子どもは、一見「怠けているように見える」行動をとることがありますが、実際は脳の働き方の違いによるものなのです。

mozせんせい
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この記事では、ADHDと怠け癖の違いを理解し、保育現場でできる配慮について一緒に考えていきましょう。

ADHDと”怠け癖”の違いとは?

一目でわかる!怠け癖 or ADHD 比較表

これって怠け癖?ADHD?そんな質問をよくされるので、私が考える違いを一覧にまとめました。

項目怠け癖ADHD
見た目の行動・だらだらしている
・やりたくないことを避ける
・楽な方を選ぶ
・集中が続かない
・忘れ物が多い
・衝動的に行動する
背景・原因・本人の意思で選択
・「面倒だから」という理由
・やろうと思えばできる
・脳の神経発達の特性
・実行機能の困難
・やりたくてもできない
対応ポイント・動機づけが重要
・達成感を与える
・習慣化の支援
・環境の工夫が必要
・タスクの分解
・視覚的な支援

一見同じ「やらない」という行動結果でも、「どうして」という部分に着目することが大切になってきます。

「やりたくない」だから、「やらない」という場合は、自分自身で意思決定をした結果です。それに対し「やりたい」でも「分からないからできない」という場合は、実行機能の困難からくるものになってきます。

つまり、やりたくないからやらないのではなく、どのようにその行動を行ったらいいのか、頭の中での情報処理が追いついていないということです。

実行機能って何?

先ほど少し触れた、「実行機能」という言葉は知っていますか?実行機能とは、目標に向かって計画を立て、注意を向け、情報を整理して行動する脳の働きのことです。

ADHDの理解で最も重要なのが「実行機能」と言われいるんです。

実行機能の主な要素

  • 作業記憶:情報を一時的に保持し、操作する
  • 認知的柔軟性:状況に応じて思考を切り替える
  • 抑制制御:衝動的な行動を抑える

 

ADHDの子どもは、この実行機能が未発達なため、「やりたい気持ち」と「実際の行動」の間にギャップが生まれてしまうのです。

「怠けてるように見える」行動例とその背景

保育現場でよく見られる、「怠けているように見える」けれど実はADHDの特性による行動をご紹介します。

ケース1:先延ばしにしてしまう

見た目の行動:片付けの時間になっても遊び続けている
背景にある特性:活動の切り替えが苦手で、今やっていることをやめるのに時間がかかる
対応のコツ:「あと5分で片付けだよ」と事前予告する

 

ケース2:やりかけのまま終わってしまう

見た目の行動:制作活動を途中で放置して他のことを始めている
背景にある特性:注意が他のものに向いてしまい、最初の活動を忘れてしまう
対応のコツ:「今やることカード」を机に置いて視覚的に思い出せるようにする

 

ケース3:指示があっても動き出せない

見た目の行動:「お片付けしましょう」と言っても動かない
背景にある特性:複数の手順を同時に処理することが難しく、何から始めればいいかわからない
対応のコツ:「まず積み木から片付けよう」と具体的な一歩を示す

 

ケース4:飽きっぽく見える

見た目の行動:すぐに興味を失って別の活動に移る
背景にある特性:刺激を求める特性があり、新しいものに注意が向きやすい
対応のコツ:短時間で達成感を得られる活動を組み込む

mozせんせい
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これは私が実際に現場で見てきた子供たちのほんの一例ですが、どの行動にも必ず“理由”があり、子ども自身も戸惑っていることが多いのです。大人の見方が変わるだけで、関わり方も大きく変わってくることも覚えておいてくださいね。

 

保育現場でありがちな”誤解”と注意したい言葉

ADHDの特性を理解していないと、つい使ってしまいがちな言葉があります。これらの言葉は、子どもの自己肯定感を下げてしまう可能性があります。以下の表を参考に、是非身に付けていきましょう。

避けたい言葉・関わり方

避けたい言葉なぜ良くないのか言い換え例
「ちゃんとして」基準が曖昧で何をすればいいかわからない「まず靴を揃えよう」
「さっきも言ったよね」忘れっぽさは特性の一部「一緒に思い出してみよう」
「どうしてできないの?」本人も理由がわからない「どうしたらできるかな?」
「やる気がないね」意欲を否定されたと感じる「一緒に頑張ってみよう」

ほんの少しの違いですが、一つひとつの言葉が、子どもの受け取り方を大きく左右します。伝えたい内容はそのままに、伝え方を工夫することが大切です。

 

否定的な言葉の影響

繰り返される否定的な言葉は、子どもの自己肯定感に以下のような影響を与えます。

否定的な言葉の循環
  ↓
「自分はダメな子」という思い込み
  ↓
やる気の低下
  ↓
さらなる問題行動
  ↓
より多くの否定的な言葉

 

mozせんせい
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この負のループを断ち切るためには、「できたこと」「頑張っている姿」に目を向け、肯定的な声かけを心がけましょう。

 

特性を理解した関わりのヒント

ADHDの特性を理解した上で、保育現場でできる配慮をご紹介します。

指示は短く・具体的に

工夫例

  • 「お片付けしましょう」→「積み木を青い箱に入れましょう」
  • 一度に複数の指示を出さず、一つずつ伝える
  • 視覚的な手がかり(絵カードなど)も併用する

タスクを分解して目に見える形に

工夫例

  • 制作活動の手順を写真やイラストで示す
  • 「今日やること」をチェックリストにして、できたら〇をつける
  • 時間の見通しを視覚的に伝える(砂時計、タイマーなど)

完了したことを一緒に確認し、達成感を伝える

工夫例

  • 「積み木が全部片付いたね!」と具体的に褒める
  • 小さな成功体験を積み重ねる
  • 努力の過程も認める「一生懸命やってるね」

環境を整える

工夫例

  • 集中しやすい静かな場所を用意する
  • 気が散りやすいものを視界から除く
  • 動きたい気持ちを満たす時間を作る

場面場面で、必要な関わり方が変わってきますが、同じような場面でぜひ活かしていきましょう!

 

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保護者や周囲への配慮・伝え方

子どもの特性について保護者と話す際は、慎重な配慮が必要です。

保護者への伝え方のポイント

「やる気がない」ではなく「やり方の工夫が必要かもしれない」
保護者に対しても、子どもの行動を否定的に捉えるのではなく、「こんな工夫をしてみると、○○ちゃんがやりやすそうでした」と具体的な支援方法を共有しましょう。

 

保護者も悩んでいる可能性がある
家庭でも同じような困りごとを抱えている可能性があります。「お家ではいかがですか?」と様子を聞き、一緒に考える姿勢を示すことが大切です。

専門機関につなぐ時の配慮
「発達が気になる」「障害の可能性」といった直接的な表現は避け、「より良い関わり方について相談してみてはいかがでしょうか」「○○ちゃんがもっと過ごしやすくなる方法があるかもしれません」など、前向きな表現を心がけましょう。

観察・記録のポイント

保護者との連携を円滑にするために、日々の観察記録が重要です。以下のポイントを意識してみてください。

  • 具体的な場面:いつ、どこで、何をしているときに
  • 行動の詳細:どのような様子だったか
  • 効果的だった関わり:どんな声かけや環境で改善されたか
  • 頻度や継続性:一時的なものか、継続しているか

 

日々の保育の中で、気になる行動があった場合は必ずメモを取っておきましょう。いざというときに、その時の状況が説明しやすくなったり、声掛けの工夫などの気づきにつながります。 

今後、保育現場で使える「観察・記録シート」の無料テンプレートを配布予定です。
※ご興味がある方は、今後のお知らせをチェックしてみてくださいね!

 

よくある質問(FAQ)

ADHDの診断は何歳からできるの?
一般的には、就学前後(5-6歳頃)から診断可能とされていますが、より確実な診断は小学校入学後が多いです。ただし、早期からの適切な支援が重要なので、気になることがあれば専門機関に相談することをお勧めします。
保育士として、どこまで判断していいの?
保育士は診断をする立場ではありませんが、子どもの様子を観察し、より良い関わり方を考えることは重要な役割です。「診断」ではなく「支援の必要性」の視点で考えましょう。
他の子どもたちにはどう説明する?
「みんなそれぞれ得意なことと苦手なことがある」「お友達が困っているときは助けてあげよう」など、多様性を認める教育の一環として伝えることができます。
保護者が特性を認めたがらない場合は?
無理に認めさせようとせず、まずは「こんな工夫をすると○○ちゃんが過ごしやすそうです」と具体的な支援方法を共有することから始めましょう。時間をかけて信頼関係を築くことが大切です。
園での支援と家庭での支援の連携方法は?
連絡帳や面談で、具体的な支援方法や効果的だった関わりを共有しましょう。園と家庭で一貫した支援を行うことで、子どもの混乱を防げます。

ADHDと怠け癖の違いを知って、保育に活かすためのまとめ

ADHDは決して「怠け」ではありません。脳の働き方の違いによって、やりたいと思っても行動に移すことが難しい特性なのです。

子どもの姿を表面的に捉えてしまうと、誤解やすれ違いが生まれますが、その背景に目を向けることで、子どもたちは本来の力を発揮しやすくなります。

この記事でお伝えしたかったこと

  • ADHDと怠け癖は「原因」も「対応」もまったく異なる
  • 「できない」には理由がある。背景を理解すれば支援につながる
  • 環境や声かけを少し工夫するだけで、行動が大きく変わることもある
  • 保護者と連携しながら、子どもの可能性を一緒に広げていくことが大切

 

私たち保育士にできることは、「その子に合った関わり方を見つけること」。小さな工夫や気づきの積み重ねが、子どもの自己肯定感を支え、成長の土台になります。

怠けているように見える行動の奥には、「本当はやりたい」「うまくできるようになりたい」という思いが隠れているかもしれません。

 

そんな子どもたちの心に寄り添い、その一歩を支える存在でありたいですね。

「この子、どう関わればいいのかな?」と感じたときは、一人で抱え込まず、園内で共有したり、必要に応じて専門機関へつないでいくことも大切です。子どもにとって安心できる関わりを、一緒に探していきましょう。

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