インクルーシブ保育を心掛けていきましょう!という園内の流れ・・・。インクルーシブ保育という意味は分かったけど、何を大切にしたらいいの?
大まかすぎて、結局のところ何を大切に保育を進めたらいいのかが分からなくなってしまった。。。
そんなことありますよね。
私もその一人。
ここでは、インクルーシブ保育を行う上で大切なことは何か?という疑問を解決していきます。
目次
①発想の転換
まず、インクルーシブ保育を取り入れる際に取り入れるといい考え方の紹介をします。
集団生活から飛び出てしまう子=困った子
「多様な子どもたちが、同じ空間で多様に育つ」ための保育を考えていく際、先生方が頭を悩ますポイントは集団生活からはみ出てしまう子ではないでしょうか。
「Aちゃんはみんなと一緒に踊りができないから、困る」
「Tくんは製作の時間にお部屋から出て行ってしまって困る」
そんな場面は日常茶飯ですよね。
でも少し発想の転換をしてみましょう。
集団に参加させなきゃ!と思っているのは先生ですよね、でも本人は参加したいと思っていないんです。「参加させよう」というのは保育士側の視点であって、本人の望むことではないんです。
‟困った子”は‟困っている子”
実は先生が ‟困った子” と思っている子は、‟困っている子” なんです。
大切なのは、そこに気づいてあげること。
「Aちゃんは今困っている状況にあるんだ!どうしたら、少しでも‟困った”を減らしてあげられるだろうか?」と発想の視点を変えることを心がけましょう。
②違いを認め合う雰囲づくり
2つ目に大切なのは、違いを認め合うという雰囲気を作ること。
インクルーシブ保育の目指すところは、すべての子どもがその子なりの能力を発揮して生きていける「共生社会」の実現です。
子ども同士がお互いを認め合うためには、まずは大人から。という雰囲気作りも大切にしましょう。
例えば、乱暴な行動が多い子がいたとします。
先生が「ダメ!」「やめなさい!」など怒ってばかりでは、それを見ている子どもは「あの子はダメな子」という目で見てしまうようになるでしょう。
でも先生が、「言葉で言うのが苦手なんだよね、貸してほしかったんだって」など、その子の気持を代弁し寄り添うような関わりをすることで、周りの子もその子の「違い」に気づき、先生と同じようにふるまってくれるようになるかもしれませんね。
問題行動などのある子は、時に理解しがたいような行動を起こすこともあります。
そんなときは頭ごなしに怒ったり、指摘したりするのではなく、「どうしてこうなったと思う?」「A君は何が嫌だったんだろう」「そんな時みんなならどうする?」などとクラス単位で話し合っていくことも、インクルーシブ保育を取り入れた保育と言えるでしょう。
③園全体としての理解
チーム保育
気になる子、障害のある子がいるクラスの担任を受け持つことは、とても大きな負担になります。どれだけ担任の先生が頑張っても、一人ではどうにもならないことばかりです。
もっというと、一人で抱え込むべきことではありません。
集団生活を送ることがメインとなる園生活。
自分のクラスだけまとまらない
私の力不足だ
となってしまわないように、園全体としてインクルーシブ保育への理解を深めていく必要があります。
例えば、加配の先生は、援助が必要な子だけを見ているのではなく、援助が必要なこの気持ちを代弁してあげる役割を担い、クラスの子がその状況を理解しあえるように配慮することもいい方法です。
職員会議の際、園全体時へ今の状況を報告し、園長先生がそのクラスに入ったり、クラスを超えて保育を行ったり、職員がチームとなって保育していく体制づくりが大切になります。
園外との連携
チーム保育は園内だけではありません。
近年はそうした取り組みを行っている地域も増えつつあり、自治体による循環相談や発達障害の研修会専門の療育センターなども増えています。
そうした外部の関係機関とも上手に連携し支援の輪を広げていくことが大切です。
そうすることで支援の糸口が見えてきたり子どもの理解が深まっていくと考えられます。
保健センター
巡回相談員
療育センター
医師・保健師
発達支援など勉強をされている先生も多くいると思うので、保育園をとりまく専門機関についてはご存じかと思いますが、今書き出したような専門家との連携を図り、どのように園生活を送っていくことが望ましいのか共通理解をし保育をしていくことも大切です。
もし今自分のクラスに発達障がいの傾向のある子がいて、インクルーシブ保育をどのようにしたらいいのか・・・と悩んでいるのだとしたら、一人で考えこんでもいい結果にはならない、という子を肝に銘じ、何かアクションを起こしてくださいね。
④環境設定の見直し
障害のある子も、ない子も、同じ空間で過ごすということは、環境設定も大切になります。
安心して過ごせる空間、危険のない配置など、もう一度自分の園の環境を見直してみましょう。
物的環境を整える
- 感覚の過敏な子がいる場合、外からの刺激が少なく落ち着ける空間を作る。
- 気が散らないよう、壁面の装飾を少なくする
- 時計にシールを貼るなどして、視覚から伝えられる環境を作る
- おもちゃはすぐに目につくところに置かない
- トイレットペーパーを使う長さの目安をトイレの横に貼っておく
- 給食の時間前に机にお盆やランチョマットを置き、その時間は座るということを知らせる
発達障がいの傾向がある子の支援方法は、その子の特徴により様々なので、一概には言えません。その中でも良く目にするのが、一人になれる空間を作るという物的環境です。
この物的環境は保育室だけにとどまらず、みんなで利用するお遊戯室、園庭なども同じように考える必要があります。
「外遊びで隅に隠れてしまう時のスペース、フェンスが危ないね」
「お遊戯室の時計、時間になると音楽が流れることが苦手なのかも」
「トイレが閉鎖的で苦手なのかも」
このように、対象となる子が何に困っているのかを園全体で話し合い、環境を見直していきましょう。
ただし、その環境がその子のためであることを、他の子にしっかりと説明をし、理解できるようにする配慮も大切です。
⑤主体性を大事にする
対象児への理解を深める
最初にもお伝えしましたが、‟困った子” = ‟困っている子” なんです。
まずは、その子の発達特性だったり、問題行動とされる行動がどうして起きてしまうのか、ということの理解から始めてください。
- どうして友達に手が出てしまうのか
- パニックが起きてしまう背景は何なのか
- 何に困っているのか
- どういうときは落ち着いて過ごせているのか
対象児の行動についてメモを取ったり、他の先生と話し合ったりしながら、理解を深めることが大切です。理解を深めることが、「多様性と認め合う」ことへの大一歩!
ねらいと方法の設定
気になる子は興味に偏りがあったり苦手なこと出来ないことがあったりするケースが多いですよね。
インクルーシブ保育を取り入れよう!だから、苦手なことは無理にやらなくてもいい!
となってしまうと、その子の遊びや体験の幅を狭めてしまうことになります。
もちろん無理にやらせようとすると、「やってくれない=困った子、手がかかる子」となってしまい、インクルーシブ保育の概念とはかけ離れてしまいます。
そんなときに意識してほしいのは、活動のねらいと方法です。
例えば、いつもは絵の具が手につくのが嫌で製作中に泣き出したり、席を立ってしまうNちゃん。
「手が汚れない方法で絵の具に触れてみよう」
「製作の時間も泣くことなく席に座っていることを目標としよう」
このようにスモールステップでのねらい設定をします。
ほかの子と同じようにできることにこだわる必要はありません。
部分的に参加する、苦手なことに取り組む、などその子の個性や発達に合った適切なねらいと方法をよく検討し必要な支援を考えてみてください。
苦手な活動でも、幼児期に経験して欲しいことはその子に合った方法で取り組めるように促すことも大切だと思います。
ねらいと方法を考えるとき目標を高くしすぎたり、逆に妥協の産物になってしまったりすることがあります。
経験年数の長い先生や園長先生など、園全体で話し合い、子どもの育ちの全体的な視点から検討するようにしましょう。
子どもの主体性を信じる
子どもは誰でも興味・関心のある事に対し、主体的に関わり伸びていく力を持っています。
それは障害がある・なしに関わらず、すべての子どもに言えること。
「あれは何だろう?」
「触ってみたいな」
「手に入れたいな」
きっとどの子の心の中にもこんな好奇心がたくさん溢れています!
その好奇心の芽が十分に満たされる環境の設定や、受容してあげる暖かい雰囲気で包んであげたいですね。
障害がある・なしに関わらず、子どもが頑張っていること、興味を持って主体的に動いていることに対し、手を貸しずぎず、見守る姿勢も大切にしてください。
インクルーシブ保育で大切なこと まとめ
最後にもう一度、インクルーシブ保育において大切なことをまとめておきます。
インクルーシブ保育を取り入れると口で言うのは簡単ですが、何をどうしたらいいんだろう。特に大切にした方がいいポイントは何だろう?
と悩んでいる先生にこの5つの大切ポイントを紹介しました。
明日からの保育も、みんなで頑張っていきましょうね。
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