【現役保育士が分かりやすく解説】ADHDとは?どんな症状・特徴があるの?

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保育現場で「落ち着きがない」「すぐに忘れちゃう」「順番が待てない」子どもたちに出会うことはありませんか?

それはただの個性や年齢の特性かもしれませんが、もしかすると ADHD(注意欠如・多動性障害) の特徴かもしれません。


今回は、ADHDの基本的な特徴についてわかりやすくお伝えします!

ADHDの正式名称と略称


ADHDは 「Attention Deficit Hyperactivity Disorder」 の略で、日本語では 「注意欠如・多動性障害」 と言います。
脳の働きの一部に特性があるため、行動や注意のコントロールが少し苦手なことを指します。

これは、大人でも子供でも同じ診断名になります。

ADHDの主な特徴を分かりやすく解説

保育の現場で「どうしてこの子はじっとしていられないんだろう?」と思ったことはありませんか?それはもしかすると、ADHDの特性によるものかもしれません。

ここでは、保育士さんが日常的に目にすることが多い行動を具体的にご紹介します。

「これ、あの子のことかも」と思い当たることがあれば、対応のヒントにしてくださいね。

 

ADHDの主な特徴は一般的に3つに分けられています。

  1. 不注意
  2. 多動性
  3. 衝動性

mozせんせい
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この3つの特徴をある程度理解しておくと、ADHDの子に出会った時にすぐピンっとくるようになります。

不注意(注意が散漫になりやすい)

 

  • 物事に集中するのが苦手で、すぐに他のことに気を取られてしまう。
  • 指示にしたがうことが少なく、最後までやり遂げられない
  • 課題や活動を順序立てることが困難

 

 

【具体例】集中が続かないAくん

 

制作活動やお話の時間でも、じっと座っていられず途中で席を立ってしまうAくん。
ハサミの工作を始めたものの、気づいたら別の遊びを始めていることも・・・
最初は楽しそうに取り組んでいたのに、なんだか気がそぞろだし、最後までやり遂げられない・・。

なぜこうなるの?

「もう、ちゃんと座ってて!」なんて、怒れてきてしまう先生も多いことでしょう。そこで視点を変えてみてほしいのが、どうしてこのような行動が起きてしまうのか、というところ。


定型発達の子どもたちは興味のあることには集中できます。しかし、ADHDの特性を持つ子どもは「興味が続かないこと」や「細かい作業」に集中し続けるのが苦手です。これは脳の働きが原因で、自分の意志でどうにかなるものではありません。

そのため、無理やり席に座らせようとしても、叱っても全く効果はないということです。

 

区切りをつけることでサポート

ついつい、「ちゃんと座ってて!」と声をかけたくなってしまうかと思いますが、以下のような対応方法で工夫して関わるようにしてみましょう。

 

短い時間で区切る:10分ごとに区切りを作り、「次はここまでやろうね」と目標を伝えると取り組みやすくなります。

途中での休憩を取り入れる:長時間座り続けるのではなく、途中で立って体を動かす時間を設けるのも効果的です。

 

mozせんせい
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不注意な子どもたちは、悪気があるわけではなく、注意を持続させることが難しいだけなんです。

「どうしてちゃんと聞けないの?」ではなく、集中しやすい環境を作るにはどうしたらいいかな?」と考えることが大切です。

そのほかに見られる不注意の症状一覧

外からの刺激ですぐに気がそれる

  • 音などすぐ反応し、目の前のことに集中できない
  • 集中と不注意の間で揺れ動き、ほどほどに集中する頃が難しい
  • 集中していると、話しかけても気づかないことがある
  • 集中しているときに途中で中断することが苦手

 

細かいところまで注意を払わない

  • 漢字やひらがなの点やはねを正しく書かない
  • 折り紙などの製作活動が際立って大雑把
  • 字を書く時や、絵を描く時に細かいところまで目がいかない

 

いつもボーっとしている

  • 興味関心の範囲が狭く自分の好きなことをずっと考えている
  • 上の空なことが多い
  • 相手に興味関心がない
  • 話しかけても聞いていいないように見える

 

必要なものを失くす

  • 失くしものが多い
  • 持ち物などを覚えられない
  • 自分で置いたものの場所を忘れてしまう
  • 忘れ物が多い

mozせんせい
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園生活や日常生活で気になるなと思った行動は、もしかしたらADHDの症状の一つかもしれないという捉え方を持っておきましょう。

 

多動性の特徴(体をじっとさせるのが苦手)

  • 必要以上に動き回ったり、座っていることが難しい
  • お昼寝中にゴソゴソと動きなかなか寝られない
  • 椅子に座っているのに足をバタバタ動かす

  

【具体例】活動の待ち時間が待てないEくん

 

ちょっとした待ち時間が苦手ですぐに席を立ってしまうEくん。
他の子は待ち時間に絵本を読んで待っていてくれるのに、Eくんはすぐに飽きてしまう・・
気づくと部屋の中を走り始めるし、声をかけても「ダメなことだよ」と教えても全然戻ってきてくれない・・・

 

なぜこうなるの?

「なんでそんなことしたの?」「ダメって言ってるでしょ!」そんな声が私の勤めている保育園でもたまに聞こえてきます。

心当たりはないですか?

 


多動ある子どもは、動いていないと気分的に落ち着かないだけでなく、ただ無意識のうちに体が動いてしまうということろがあります。

実はこれも脳の特性によるもので、決して自分勝手「わがまま」というわけではありません。

そのため、「何で座っていられないの?」という問いかけは本人にはよく分からないのです。

動ける時間を作る

動いてしまうことを止めるのではなく、動きたい気持ちを取り入れた活動が効果的です。

何らかの役割を与える:製作の途中に「みんなのハサミを配って」など、動ける口実を与えてあげます

動ける時間を作る:活動の合間に小休憩を取り入れ、動いてもいい時間を確保してみましょう

 

mozせんせい
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ちょっとした関わり方の工夫で、気になる子の姿も少しずつ変わってきますよ。

日常で見られる多動性の行動

じっと座っていられない

  • 授業中でも立ち歩いてしまう
  • 座っていてもソワソワしているように見える
  • 姿勢が悪い
  • 不適切な場所で走り回ったり、高いところに登ったりする
  • 順番が守れない

おしゃべりが多い

  • 一方的に話し始めて止まらない
  • 質問が終わる前に自分の話をし始める(衝動性もあり)
  • 他者の行為を遮ったり、邪魔をしたりする(衝動性もあり)

mozせんせい
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【多動性】と、次に紹介する【衝動性】は似ているところがあります。私の保育経験の中でも、多動性と衝動性を合わせもった子が多かった印象です。

 

衝動性(考える前に行動してしまう)

  • 自分の気持ちをコントロールするのが苦手
  • 考える前に行動が先に出てしまう

【具体例】順番が待てないSちゃん

ゲームや遊びで、自分の番が来るまで待つのが難しいSちゃん
みんなと同じルールで遊ぶのが難しく、途中でルールを無視してしまうことも・・・
「順番だよ」と声をかけると、急に泣き出してしまったり、「カッ」となってしまうこともある

なぜこうなるの?


ADHDの特性を持つ子どもは、ルールを理解していても「待つ」という行動を維持するのが苦手です。

また喜怒哀楽が激しいことも多く、自分のしたいことが止められたり邪魔されたりすると腹を立てて癇癪を起すこともあります。

こうした行動は集団行動の中で多く見られます。

mozせんせい
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【衝動性】というと、突然物を投げるなど、少し危険な印象を与えてしまいがちですが、「衝動買い」というイメージだと思って下さい。

「ほしいから買ってしまう」と同じで、「やりたいから順番を抜かす」という感情。

自分でブレーキがかけられない状態と理解しておきましょう。

ルールを改善してみる

ルールを守れない場合には、もう少しその子に合ったルールに変えてみることも一つの方法です。

ルールを簡単にする:ルールが複雑だと混乱しやすいので、簡単なものから始めてみましょう。

役割を与える:例えば、「順番を教える係」など役割を持たせることで、待つことが自然とできるようになります。

衝動性の気になる様子や行動

順番を待つ事が難しい

  • やりたい気持ちが強く、ルールを無視する
  • 他者の行為を遮ったり、邪魔をする

思いついたことをすぐ行動する

  • 気になったものは触らずにはいられない
  • 指名されていないのに、答えてしまう
  • 知っていることを言わなければ気が済まない
  • 列に並ばずに横入りをする
  • 思い込みでしゃべる
  • 人の話をすぐに遮る

 

mozせんせい
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衝動性は自分の気持や感情のコントロールが難しい状態です。その子なりの理由はあるのですが、周囲からは突然の行動に見えてしまう、というところへの理解が難しいですね。

 

ADHDかも?と感じたら

ADHDは「不注意」「多動性」「衝動性」という3つの特徴があるということを、保育士目線で解説してきましたが、理解できたでしょうか?

現場で働いていると、「この子ってもしかして?」と感じることや「なんか気になる・・・」と感じる子と接することが本当に多くあります。

最後に理解しておいてほしいことは、ADHDだからと言って、この3つの特徴をすべて持っているというわけではなく、その子その子でいろいろな特徴をあわせ持っているということ。

なので、先生方が感じた「ちょっと気になるな」「何でこんな行動が多いのかな?」という気づきはメモをして、しばらく観察してみるようにしましょう。

 

ADHDの診断基準としては、以下の通り示されています。

  • 気になる行動がしばしば6ヶ月以上認められる
  • 少なくとも2つ以上の状況で見られる(保育園・家庭)
  • 12歳前に(いくつかの症状が)みられる
  • 社会的・学業的機能を損なわせている 等

簡単に書きましたが、このような判断基準に当てはまったときにはじめて医師によって「ADHD」という診断がくだります。

mozせんせい
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気になると感じたことをそのままにするのでは、どんな状況で、どんな行動が気になったのか、ということをしっかりとメモしておくようにしてくださいね。

先生のちょっとした気づきが、その子の生きづらさの解消につながるかもしれません。保育士、幼稚園の先生、学校の先生・・子ども関わる仕事とは切っても切り離せなくなっている「発達障害」とい専門知識。

私もまだまだ勉強中です。

ぜひ一緒に「発達障害」への知識と理解を深めていきましょう!

おすすめの本

mozせんせい
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児童発達支援士の資格を持つ私がおススメする発達支援系の参考書です。資格を取得するという方法ももちろんおすすめしますが、まずは簡単に手に入る本から始めてみるといいとですよ。

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