産休育休明けのワークスタイルはどうしよう?
復職できる自信がないかも・・・
育休明け、復職しないで辞めるのはあり?
育児をしていると、色々な不安がこみ上げてきますよね。
そこで今回は、育休明けに復職せずに退職しようか悩んでいる保育士さん向けに、実際の経験や法律的な観点から退職についてのアドバイスをお届けします。
目次
育休明けに辞めても大丈夫?法律的なポイントを確認しよう
まず初めに、多くの保育士さんが気になるのは「育休明けに復職せずに退職することは法律的に問題ないのか?」という点です。
結論から言うと、法律的には問題ありません。
日本の労働基準法では、全ての労働者が自由に退職する権利を持っています。つまり、保育士だけに限らず、育休明けに辞めること自体は合法であり、なんの問題もありません。
本当に?と心配になってしまうのもよく分かります。なので、少し難しいですが、法律的な観点からも解説していきたいと思います。
1. 育児休業給付金と産休手当は法的に守られた権利
育児休業中に受け取る育児休業給付金や、産前産後休業中に支給される出産手当金は、労働者が法的に受け取ることができる正当な権利です。
育児給付金に関する詳細は「雇用保険法」と「育児・介護休業法」、および厚生労働省の関連資料に記載されています。
雇用保険法
育児休業給付金は、雇用保険制度の一部として提供されているため、雇用保険法にその根拠があります。具体的には、育児休業期間中に賃金が一定以上減少した場合、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。育児・介護休業法
この法律では、労働者が育児休業を取得できる権利やその取得期間について定めています。育児休業給付金の支給条件や対象期間は、この法律の育児休業に基づいています。厚生労働省の通達やガイドライン
雇用保険法や育児・介護休業法に基づいて、厚生労働省が育児休業給付金に関する具体的な運用や支給条件を定めた通達やガイドラインも存在します。
これらは出産や育児のために給付されるものであり、その後に退職したとしても、支給された手当を返還する必要はありません。
なので、育休明け復職しなしで退職しても、法律的に全く問題はありません。
もっと詳細を知りたい方は下のリンクより確認してみてください。
2. 退職のタイミングに制限はない
辞めることに対して法律がないことは確認できたけど、退職してはいけない期間がありそう・・・
そんな声も出てきますよね。
その点についても心配いりません!
法律上、産休・育休が明けた後の退職に関して、特に制限は設けられていません。つまり、育休明けにすぐに辞めることも、一定期間働いてから辞めることも、どちらも労働者の自由ということです。
しかし、育児休業制度そのものは復職を前提としたものであり、育休中に「復職しないで辞める」という選択肢を取る際には、いくつかの注意点があります。
特に、育休手当や退職のタイミングについては、慎重に考える必要があるので、更に詳しく解説していきます!
育休産休明けに辞めることへのメリット・デメリット
育休明けに退職することに対して、もう一度自分の気持を見つめ直すという意味も込めて、メリット・デメリットについても事前に考えていきましょう。
退職することのメリット
- 育児に専念できる
- ストレスやプレッシャーから解放される
- 自分のペースで再就職の準備ができる
育休・産休明けに仕事を辞めることで、育児に全力で向き合える時間を確保できます。特に初めての育児の場合、慣れないことが多く、時間や精神的な余裕が欲しいと感じることもありますよね。
仕事と育児の両立をする自信がない!と思っている人にとってみると、退職することの一番のメリットは「育児に専念でできる」という点だと思います。
また、「あと少しで仕事復帰か・・・」という職場復帰に伴うストレスやプレッシャーが無くなり、自分のペースで家族との時間を大切にすることができます。さらに、再就職を焦らず、希望する条件に合った職場をじっくり探す時間が持てるのもメリットと言えるでしょう。
デメリット
- 経済的な不安が増える
- 再就職までのブランクが長くなる
- 職場でのキャリアが中断される
逆にデメリットもあります。
理由として、仕事を辞めることで家計への影響が大きくなる可能性があります。
復職前までは産休手当・育休手当をもらって生活していた状態ですが、一馬力での生活になり、育児費用や生活費のやりくりが難しくなることがあります。
また、再就職までに長いブランクができると、復帰の際にスキルの遅れを感じたり、以前より好条件の職を見つけるのが難しくなることがあります。
さらに、辞めることでこれまで積み上げてきたキャリアが中断され、職場での経験や信頼が活かせなくなる可能性もデメリットの一つと言えるでしょう。
辞めるタイミングと手当についての注意点
メリットデメリットについては、おそらく書かなくても先生自身がよく分かっていると思うのでサラっとお話だけさせてもらいました。
いざ辞めるとなったら、どういう流れになるのだろう・・・という疑問や不安が出てくると思います。それによっては、やっぱり復職しよう。となる先生もいるかと思います。
育休明けに辞める際に特に注意したいのは、退職のタイミングです。
育休手当は「復職を前提に支給されるもの」であり、育休中に辞めることを早めに申し出ると、手当が途中で打ち切られる可能性があるからです。
手当を受け取ることに関して損をしないために、まずは育休手当の仕組みについて少し理解しておきましょう。
育休手当の仕組み
育児休業給付金(育休手当)は、復職を前提に雇用保険から支給される給付金です。
- 育休手当の支給期間:原則として、子どもが1歳になるまで(場合によっては最長2歳まで延長可能)。
何事もなく復職する先生にとってみると、たったとこれだけの内容です。
【具体例】
子どもが5月1日生まれの場合、育休は翌年の5月1日まで取れ、その期間育休手当が支給されます。
次に、育休手当の延長についてです。
育休手当は基本的に子どもが1歳になるまで支給されますが、条件を満たせば最長1歳半、または2歳まで延長することが可能です。
延長が認められる主な条件は以下の通りです。
- 保育園に入れない場合(保育園の待機児童がいるなど)
- 配偶者が病気や怪我で子育てができない場合
【具体例】
例えば、先ほどの例で考えると、5月1日生まれの子どもが保育園に入れない場合、育休手当を1歳半まで延長できます。具体的には11月1日まで延長できるということです。
関連資料|育児休業特設サイト|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
退職意思を伝えるタイミングの影響
復職せずに退職することが自分自身の中で確定している場合でも、早すぎるタイミングでその意思を伝えると、育休手当が途中で打ち切られるリスクがあります。復職しないと決めている場合は、退職の意思を伝えるタイミングに気をつけましょう。
具体的な例として、5月1日生まれの子の場合を考えてみます。
【具体例】
- 育休手当を満額受け取りたい場合は、1~2ヶ月前に退職の意向を園に伝える
- 退職日を5月1日以降に設定し、育休手当をしっかり満額受け取れるようにする
ただし先ほどもお伝えしましたが、1~2ヶ月前に退職の意向を伝えるため、もしかしたら手当が打ち切られてしまう可能性もあります。
できる限り、育休終了のギリギリに伝えることがベストですが、常識的に考えて、そんなにもギリギリに退職の意向を伝えることはよくないと思います!なので、一番ベストなタイミングは1~2ヶ月前だと思って下さい。
おすすめは数ヶ月復職してから退職するという選択肢
先ほど、復職せずに退職する場合についてお話しましたが、園側の気持ちとしては復職してくれると思っていた先生が、「やっぱり戻ってこない」ということはかなりマイナスになります。
だったらもっと早く言ってくれればよかったのに!
次の人を探さなきゃいけない
他の先生がカバーしなくてはいけない
という状況に陥り、辞める先生に対して嫌な印象を与えてしまう可能性もあります。
そのため退職を考えている場合でも、職場との関係を円満に保つことに重きを置き、数か月でも復職してから退職するという選択肢がおすすめです。
これによって、育休手当を満額受け取りつつ、職場との関係も円満に保てるため、後腐れなく辞めることが可能です。また、復職した事実があるため、手当が打ち切られるリスクも回避できます。
数ヶ月復職してから退職することへのメリット
- 育休手当を確実に満額受け取ることができる
- 法律的・職場との関係も円満に
- 退職のタイミングを自由に決められる
このようなメリットが考えられます。
① 育休手当を受け取る前提は「復職の意志があること」です。もし復職しないと決めていても、数か月でも働けば、「復職した事実」があるため、支給停止の心配がなくなります。
② 復職せずにすぐに退職を申し出た場合、職場側は「育休を取得して退職する」という形に感じることがあり、場合によっては職場との関係がぎくしゃくすることもあると思います。しかし数か月でも復職すれば、こうした誤解や職場とのトラブルを避けることができますよ。
③ 数か月働くことで、退職の意思を伝えるタイミングに柔軟性が生まれます。手当をすべて受け取った上で、自分にとって最適なタイミングで退職することができます。
どうせなら、あと腐れなく辞めたいですよね。
保育士という職業は、人間関係も非常に大切なので、退職時も配慮を忘れずに行動することが重要です。
育休・産休明けに辞めたいときの上手な伝え方【5つのケース】
最後にどのように伝えると円満退職が出来るのかという事例を5つ紹介しておきます。自分に一番近い環境の例を参考にしてもらえれば・・・と思います。
育休・産休明けに職場を辞めたいと感じる理由は人それぞれですよね。
そのため、伝え方も相手に納得してもらえるよう、自分の状況に合わせて工夫することが大切です。
Aさん(30代前半・初めての育休明け、保育士歴5年) |
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【背景】 初めての育休から復帰 子育ての大変さを実感し、仕事と育児の両立が難しいと感じている 時短勤務などの制度があまり整っていない職場のため、育児と両立できる環境を求めて辞めたいと考えている |
【伝え方のポイント】 • 具体的な理由を説明する • 育児の負担と仕事の両立が難しいことを強調 |
【例文】 「お世話になっております。育休をいただき、子育てに専念する中で、現在の状況では仕事と育児の両立が非常に難しいと感じるようになりました。大変恐縮ではありますが、子供の成長に合わせた柔軟な働き方が必要だと考えており、他の環境で働くことを検討しております。これまでのご理解とサポートに感謝いたします。」 |
Bさん(40代・育休明け、子供2人、保育士歴15年) |
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【背景】 ベテランの保育士で、育休明けに復帰予定 家族のサポートが難しくなり、特に子供が2人いるため仕事の負担が大きいと感じている 家庭を優先するため、転職や一時的に退職を希望 |
【伝え方のポイント】 • 家庭の事情を優先する理由を丁寧に説明 • 長年の職場での経験に感謝を示す |
【例文】 「長年お世話になってきましたが、育休明けに子育てのサポート体制が思うように整わず、特に2人の子供を抱えての復職が難しいと感じるようになりました。まことに勝手ではありますが、これから家庭を優先したいという思いが強いため、退職をしたいと考えております。これまでのご指導、ご支援に深く感謝しております。」 |
Cさん(20代後半・育休明け直後に転職希望、保育士歴3年) |
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【背景】 まだ保育士歴が浅く、育休中に仕事について改めて考える時間があった 今の職場ではキャリアアップの機会が少ないことを感じ、育休明けに転職を決意 |
【伝え方のポイント】 • キャリアアップのための転職を前向きに伝える • 職場への感謝を述べつつも、自分の成長を重視 |
【例文】 「育休をいただき、子育てと同時に自身のキャリアについても考える機会がありました。今後の保育士としての成長を見据えて、新しい環境で挑戦したいと思い、転職を決意いたしました。これまでご指導いただき、誠にありがとうございました。」 |
Dさん(30代後半・育休明け、体調不良が続いている) |
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【背景】 育休中に体調不良を経験し、体力的な問題からフルタイム勤務が厳しいと感じている 育児に加えて自身の健康面も考慮し、退職を検討している |
【伝え方のポイント】 • 健康問題を正直に伝える • 退職に理解を得るため、無理せず続けられないことを強調 |
【例文】 「育休を終えて復職を予定しておりましたが、育児と自身の体調管理の両立が難しく、フルタイムでの勤務が困難な状況です。無理をして続けることができないため、退職を考えております。大変ご迷惑をおかけしますが、今まで本当にお世話になりました。」 |
Eさん(30代・育休明け、職場の対応に不満がある) |
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【背景】 育休明けの復職を考えていたが、職場のサポート体制や対応に不満を感じている 育児との両立に理解が不足していると感じ、新しい職場を探すことに |
【伝え方のポイント】 • 不満を直接伝えるのではなく、前向きな理由を強調 • 新しい環境での働き方を重視していることを伝える |
【例文】 「育休後の復帰を予定しておりましたが、育児と仕事の両立を考える中で、今の職場環境では難しいと感じるようになりました。もっと柔軟に働ける環境を求めて、新しい職場での挑戦を考えております。これまでのサポートに感謝いたします。」 |
育休・産休明けに辞める理由や状況は人それぞれ異なります。大切なのは、自分の現状をしっかりと説明し、相手に納得してもらう伝え方を選ぶことです。どのケースにおいても、感謝の気持ちを忘れずに伝えることで、スムーズな退職が実現できるでしょう。
復職するか、退職するかの判断ポイント
育休明けに復職するか退職するかの決断は、個人のライフステージや家庭の状況に大きく影響されます。以下の点を考慮して判断するのが良いでしょう。
- 育児と仕事のバランスが取れるか?
- 収入面で育休手当が必要か?
- 職場環境や同僚との関係は良好か?
- 子どもを預ける環境(保育園など)は整っているか?
自分自身と家族の将来を見据え、無理のない選択を心掛けてくださいね。
自分のライフステージに合った決断を
最後に、育休明けに復職するか退職するかは、保育士さん一人ひとりのライフステージや家庭の状況に合った決断をすることが大切です。
私自身、育休明けに一度退職することを選びましたが、その後も保育士として戻ってくる道を選びました。どのような選択をしても、自分と家族にとって最良の道を選ぶことが何よりも重要です。
先生方と、この先も保育業界を盛り上げていけることを望んでいますが、自分にとってベストな選択をするきっかけになれば幸いです。
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