【考察】インクルーシブ保育を実現するための取り組みと課題

[記事内には広告が含まれています]

インクルーシブ保育を取り入れるためのは、どんな取り組みが必要?
課題がたくさんあるような気がするけど・・・

保育現場では、そのような声が聞かれるようになりました。

そこで今回は、

  • インクルーシブ保育の具体的な取り組み方法
  • 今後の課題
  • 実現に向けてどうしたらいいのか

このような点で、インクルーシブ保育と向き合っていきたいと思います。

インクルーシブ保育の取り組み

最近、「インクルーシブ保育」という言葉を耳にする機会が増えてきましたね。

皆さんは、これがどのような保育を指しているかご存知でしょうか?

インクルーシブ保育とは、障害の有無に関わらず、すべての子どもが同じ場所で学び、遊ぶことを大切にするという考え方の保育のことです。つまり、今の保育現場には、子ども一人ひとりの個性やニーズに応じた保育を提供することで、誰もが尊重され、受け入れられる環境を目指していくことが求められているということです。

そこで実際にどんな取り組みを取り入れていくといいのか、学んでいきたいと思います。

取り組み1:保育士への専門研修

• 多様な子どもたちのニーズに応えるための学び

• 個別の支援方法や対応スキルの習得

みなさんは、インクルーシブ保育に必要なスキルについてどれくらい自信がありますか?

インクルーシブ保育が求められる背景には、さまざまな特性を持つ子どもたちが増えていることがあります。保育士として、この多様なニーズに応えられるようになりたい…そう思う方も多いのではないでしょうか?

そこで、現場で役立つのが「専門的な研修」「スキルの獲得」です。

mozせんせい
mozせんせい

保育士への専門研修にはさまざまな機会がありますが、特に近年はインクルーシブ保育に関する研修も増えてきています。具体的にどのような研修があり、どこで受講できるのかについて、詳しくお伝えしますね。

1. 自治体が主催する研修

多くの自治体では、保育士向けにインクルーシブ保育の専門研修を行っています。たとえば、発達障害や行動面で支援が必要な子どもへの対応方法、異なる背景を持つ子どもたちへのサポート方法などについての講義が多く開催されています。

各地域の保育科や教育センターの情報をこまめにチェックすることで、最新の研修情報を得られることが多いのでチェックしてみてください。

2. 専門団体や協会による研修

日本保育協会全国保育士会といった団体でも、インクルーシブ保育に関連する研修を開催しています。

こうした研修では、専門的な知識やスキルを学ぶだけでなく、他の保育士さんと交流しながら、さまざまなケーススタディについて学ぶ機会も得られます。

また、オンラインでの受講が可能なものもあるため、忙しい方でも参加しやすいのが特徴です。

3. 民間の研修機関やオンラインコース

最近では、民間の研修機関が提供する「発達支援」や「多様性教育」に関するコースも増えてきています。

こうした研修では、インクルーシブ保育の実践的な内容に特化しているものも多く、たとえば個別支援計画の立て方や、保護者とのコミュニケーション方法など、現場ですぐに役立つスキルが身につきます。

また、インクルーシブ保育に関するオンラインのeラーニングもあり、隙間時間に学ぶことができます。

汐見稔幸先生による『インクルーシブ保育』無料セミナーを配信|保育士・幼稚園教諭のための情報メディア【ほいくis/ほいくいず】

mozせんせい
mozせんせい

私もよくお世話になっている「ほいくis」というサイトでも、インクルーシブ保育の研修動画が公開されていますよ。

 

こうした専門研修の場は、単なる知識を得るだけでなく、同じ目標を持つ保育士同士が意見交換し、励まし合う貴重な場でもあります。

ともに学び、支え合うことで、「インクルーシブ保育」が現実のものになっていくのです。皆さんの保育の一歩先をサポートしてくれる、そんな研修の機会がもっと広がってほしいですね。

取り組み2:多様性を尊重した環境整備 

次は環境整備という点から、インクルーシブ保育を取り入れる点について考えていきましょう。

  • すべての子どもが安心できる環境
  • 施設の工夫や教材選びが大切

私たちの保育現場では、さまざまな特性を持つ子どもたちが一緒に過ごしています。子どもたちみんなが「ここは安心できる場所」と感じられるためには、どんな工夫が必要だと思いますか?

教材やおもちゃの配慮

たとえば、感覚過敏のある子には触り心地のよい布や穏やかな色使いの教材を用意すると、より安心して遊べます。また、みんなが楽しめるように、おもちゃや教材を多様なスタイルで用意することも大切です。

音や光の刺激が強すぎるものも、少し気を配って選びたいですね。

 

バリアフリーの空間づくり

子どもたちが自由に動き回れるように、部屋のレイアウトにも工夫が必要です。

特に、車いすを使っている子どもがいる場合は、通路を広めに確保したり、手すりを設置することで、みんなが同じように楽しく過ごせる環境が整います。

 

落ち着けるスペースの確保

日々の保育の中で、どうしても落ち着かない、安心したいという場面が出てくる子もいます。そんなときのために、静かに休める「おやすみスペース」や「安心コーナー」があると、子どもたちは自分のペースでリフレッシュできるかもしれませんね。

このように、多様な子どもたちが安心できる環境を整えることは、保育士にとっても心強いサポートになります。「あの子が安心して過ごせるように…」と工夫を重ねると、日々の保育も自然と多様性に満ちたものになっていきます。みんなが「ここが好き!」と思える環境を一緒に目指していけるといいですね。

取り組み3:保護者との連携強化

忘れてはいけないのが、保護者との関係。

  • 子どもの育ちを支える連携づくり
  • 保護者との信頼関係を深める

インクルーシブ保育を進めるうえで、保護者との協力関係はとても重要です。「家庭と保育園、どちらも安心してもらえる環境を整えたい」——そんな思いを持つ保育士さんも多いのではないでしょうか?

 

ここでは、保護者と深く連携し合うためのポイントを考えていきましょう。

 

定期的なコミュニケーションを重ねる

保護者とのコミュニケーションは、子どもたちの成長を支える土台になります。毎日のちょっとしたやり取りから、成長に気づく場面まで、「ここが最近できるようになりました」と小さな変化も共有することで、保護者も安心し、連携もスムーズになりますね。

 

お互いの気持ちに寄り添う

保護者も、それぞれのご家庭で様々な想いを抱えながら子育てされています。特に、特別な支援が必要なお子さんの保護者は、不安や心配が大きいこともあります。

 

そんなとき、「大丈夫です、一緒に考えていきましょう」と寄り添う気持ちを持つことで、保護者は保育士を頼りにしやすくなります。 

  

家庭の意見を尊重し、具体的な協力体制を

保育の進め方について、保護者からの要望や意見も伺うことが大切です。

 

たとえば、どんなアプローチが家庭でも効果的だったのか、一緒に探ることができると、保育士としても視野が広がり、子どもに合ったサポートがしやすくなります。また、「家庭でも取り組みやすい遊び方」を共有するなど、実践的なアドバイスも保護者から喜ばれるでしょう。

 

mozせんせい
mozせんせい

保護者との信頼関係を深め、安心できる連携を築くことで、子どもたちがよりのびのびと育つ環境が整います。私たち保育士も、保護者と心を通わせながら、子どもたちの成長を支えていきましょう!

インクルーシブ保育の課題

インクルーシブ保育を取り入れていこう!と考えている園が増える一方、行き詰まっている園が多くあるのが現状。どうして行き詰まってしまうのか・・・

そこには、大きな課題がたくさんあるのです。

保育士の負担増加

インクルーシブ保育では、さまざまな特性や背景を持つ子どもたちが一緒に過ごすため、保育士の皆さんにかかる負担がどうしても増えることがあります。

特に、個別に対応が必要な子どもが増えると、それぞれのニーズに応じた支援を提供するための準備や対応が必要です。「この子にはこんなサポートが必要、あの子には別の方法がいいかもしれない」と、頭を悩ませることも多いでしょう。

一人ひとりに目を配り、きめ細やかなサポートを提供するためには、保育士の業務量が自然と増え、疲労感がたまりやすくなります。

インクルーシブ保育を実践するうえで、どのように負担を分散させ、保育士自身の健康を守るか大きな課題です。

 

個別支援の難しさ

すべての子どもに適切な支援を提供することは、理想的ですが、現実的には非常に難しい場合があります。特に、障害を持つ子どもへの支援は、時間やリソースが限られている中で、どうしても不十分になることがあります。

 

例えば、「もっとじっくり関わりたいけれど、他の子どもたちにも目を配らなければならない」という状況に、保育士の皆さんも直面しているかもしれません。

 

また、特別な支援が必要な子どもに対して、専門的な知識やスキルが求められる場面も増えます。そのため、十分なサポート体制が整っていない場合には、保育士自身が感じるプレッシャーや不安も大きくなることが考えられます。

 

環境整備のコスト

インクルーシブ保育を行うには、保育施設の環境を整える必要があります。

 

たとえば、車椅子を使う子どもに対応するためにバリアフリー化を進めたり、視覚や聴覚に障害のある子どもたちのために特別な教材や設備を導入することが必要です。

しかし、これらの環境整備には高いコストがかかることが多く、施設の予算や資金の問題が課題となることも少なくありません。

また、保育士への研修費用や外部の専門家を招いての支援など、継続的に教育を提供するための資源も必要です

これらのコストをどのように確保し、持続可能な体制を作っていくかは、インクルーシブ保育を進めるうえで避けて通れない課題というわけです。

 

保護者とのコミュニケーションの難しさ

 

インクルーシブ保育を理解してもらうためには、保護者との密なコミュニケーションが欠かせません。しかし、保護者がインクルーシブ保育について十分な理解をしていない場合や、何らかの不安を感じている場合、その説明や調整には時間がかかります。

例えば、「うちの子は障害がないけれど、インクルーシブ保育が適しているの?」といった質問や、「もっと個別に配慮してほしい」という要望が出てくることも考えられます。こうした保護者の声に対して、保育士がどう対応し、インクルーシブ保育の意義を伝えていくかは、現場での大きなチャレンジです。

そのため、保護者会などを開き、「インクルーシブ保育」についてしっかりと説明し伝えていくこと、保護者からの声に誠意をもって対応することが必要になってくると思います。

クラスの子どもへの影響

インクルーシブ保育は、子どもにとっていいことばかりではありません。

特別な支援が必要な子どもがクラスにいると、クラス全体のバランスに影響が出ることもあります。たとえば、支援が必要な子どもへの対応に時間がかかると、他の子どもたちが待たされる場面が増えたり、クラスの活動が中断されることも。これによって他の子どもたちがストレスを感じたり、不満を抱くことが課題になる場合があります。

「どうして○○くんは先生にずっと見てもらってるの?」と他の子が感じることも。こういった行動が繰り返されると、他の子が「僕も同じようにしないと注目されないのでは?」と誤解してしまうこともあり、クラスの雰囲気に影響を与える可能性があります。

また、支援が必要な子どもが一時的に集団活動に参加できない場合、活動が進みにくくなることもあります。他の子どもたちはその子がいない間待つことが必要になる場合もあり、「なんで待ってるの?」という疑問や、少しのイライラを感じる子もいるかもしれません。これが続くと、クラス全体が集団での活動に対して集中力を欠くことにつながることもあります。

こうした課題があるため、他の子どもたちが「どうして先生は○○くんばかり見てるの?」と感じないように、「みんなそれぞれ違う助けが必要なこともあるよ」と話し、自然に相手の違いを理解できるようサポートが大切です。また、待つ時間が発生する場合には、「少しだけ待っててね」「みんなもすぐに順番が来るからね」と丁寧に声をかけることで、待つ時間が負担にならないよう配慮することも重要です。

こうした課題に向き合い、クラス全体が協力し合える環境を目指して、日々の保育に工夫と配慮を重ねることが大切です。他の子どもたちの成長も支えつつ、クラス全体が安心して過ごせるよう、取り組んでいけるといいですね。

mozせんせい
mozせんせい

個人的には、子どもへの影響という点は先生方の声掛けの仕方や、保育の技術が一番試される課題だと思います。「何で?」そう子供たちに聞かれたときに、納得のしてもらえる声掛けの技術も身に付けていきたいですね。

 

【実例をもとに考える】インクルーシブ保育の具体例

この記事も参考にしていただけたらと思います。

 

インクルーシブ保育を現場で成功させるためのポイント 

 

小規模な取り組みから始める

 

インクルーシブ保育を導入する際、すべてを一度に変えることは難しいかもしれません。

なのでまずは、小さな変化から始めることが重要です。

 

たとえば、日常の活動の中で一部の時間や特定のプログラムを、全ての子どもが参加できるように工夫してみることを取り入れてみてはどうでしょうか。

遊びや学びの時間に、異なるニーズを持つ子どもたちが一緒に楽しめるような活動を取り入れることで、徐々にインクルーシブな環境が整っていきます。

そういった経験を積み重ねていくうちに、保育士や他のスタッフに自信がつき、スムーズなインクルーシブ保育の実践が可能になるでしょう。

mozせんせい
mozせんせい

無理なく少しずつ現場に適応させていくことが、保育士の負担を減らし、成功への第一歩になります。

 

研修やサポート体制の充実

先ほども書きましたが、研修やサポート体制も園全体としての大事なポイントになってきます。

インクルーシブ保育を実現するためには、保育士が安心して取り組めるようにする研修やサポート体制が不可欠です。

たとえば、特別支援教育に関する専門知識やスキルを学ぶ機会を定期的に設けることで、保育士が感じる不安を軽減することができます。また、外部から専門家を招いての講習や、実際のケーススタディを共有することで、具体的な支援方法を学ぶことも効果的です。

 

さらに、現場の保育士が個々の子どものニーズに適切に対応できるよう、相談できる環境を整えることも大切です。

 

 例えば、専門スタッフやリーダーと定期的に意見交換を行い、どのように支援するべきかを一緒に考えることで、保育士のストレスを軽減し、子どもたちに対する支援の質も向上していくと考えられます。

保護者との協力関係を築く

インクルーシブ保育を成功させるためには、保護者との協力関係が不可欠です。

保育現場だけで完結せず、保護者とも密接なコミュニケーションを取りながら、子どもの成長や支援について共有することが大切です。

 

保護者がインクルーシブ保育の意義を理解し、協力的な姿勢を持ってくれることで、子どもたちの育ちがより豊かになります。

具体的には、保護者に対して日々の保育の様子やインクルーシブ保育の進行状況を定期的に伝えるほか、説明会や相談会を通じて、不安や疑問に答える場を設けることが効果的です。また、保護者からの意見や要望をしっかり受け止め、可能な限り柔軟に対応することで、信頼関係を築くことができます。こうした協力体制は、子どもたちの育ちを共に支えるために不可欠な要素だと言えるでしょう

少しずつで大丈夫

インクルーシブ保育は、すべての子どもが尊重され、個々のニーズに応じたサポートを受けられる環境を提供する重要な取り組みです。

様々な課題をお伝えしてきましたが、最終的には、インクルーシブ保育を導入することが子どもたちや私たち保育士にとっても大きな価値をもたらすことを忘れてはいけません。

子どもたちは多様性を理解し、豊かな人間関係を築く力を育むことができ、私たち保育士もそのサポートを通じて成長するチャンスを得られます。

もちろん、課題もたくさんありますが、それを乗り越えることで、より多くの子どもたちに素晴らしい成長の機会を提供できるのです。皆さんも「インクルーシブ保育って、本当にできるのかな?」と不安に感じるかもしれませんが、一歩一歩前進することが大切です。

質問やコメントも大募集

皆さんの現場では、インクルーシブ保育にどのように取り組んでいますか?

 

また、取り入れる際に感じた不安や、逆に「こうしてうまくいった」という経験があれば、ぜひコメント欄で教えてください。

mozせんせい
mozせんせい

皆さんの意見や経験をシェアし合うことで、もっと良い保育環境を作り出せると思います。より良い保育業界目指して、みんなで情報共有していきましょう!

 

参考文献

こんな記事もおすすめ

インクルーシブ保育とは?キーワードは「多様性と共生力」 【現役保育士が考える】インクルーシブ保育で大切なこと5選! 【現役保育士が感じる】インクルーシブ保育のメリット・デメリットと今後の課題 【実例をもとに考える】インクルーシブ保育の具体例

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です