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「この子、どうしてこうなるんだろう…?」
そんな場面、現場で増えていませんか?
クラスの子ども達を見ていると、落ち着かない、切り替わらない、伝わらない・・・気になる行動は確かにあるけれど、その理由がはっきりつかめず、モヤモヤする瞬間があります。
後輩から相談されたとき、保護者に説明するとき、経験だけでは言葉が追いつかないこともあるでしょう。
そこで伝えたいことは、子どもの行動には、必ず背景があるということ。その背景を読み解く力(見立てる力)が身につくと、支援の選択肢が増え、関わりが驚くほど楽になります。
- 行動を読み解く4つの視点
- 見立ての基本の考え方
- 明日から使える支援のヒント
なんとなくの対応から一歩抜け出し、根拠を持って支援できる自分へ。そのためのスタートとして活用してください。

「もっと根拠を持って話したい」「行動の理由が分かれば、支援も変えられるのに…」そんな思いを抱えている保育士さんに向けて書きました。
目次
気になる子に見られやすい行動|現場でよく出会うあるある
まずは、保育の現場でよく見られる気になる行動を整理してみましょう。
集団活動での困りごと
一つ目は、集団活動の場面でよく見られる困りごとです。
- 朝の会や帰りの会で座っていられない
- 一斉活動になると離席する、寝転がる
- 順番を待つのが難しい
- 切り替えに時間がかかる(遊び→片付け、室内→外など)
- 見通しが持てず不安になり、パニックを起こす

クラス全体で活動を進めたいときに、一人だけ動きが止まらない・離れてしまう・切り替わらないという状況があると、どうしても流れが中断されることがありますよね。
「この子だけ特別扱いしていいのかな?」
「ほかの子への影響は大丈夫?」
そんな迷いが生まれやすい場面でもあります。
対人関係での困りごと
次に、子ども同士・子どもと大人とのやりとりで見られる困りごとです。
- 友だちとのトラブルが多い(押す・叩く・取る など)
- 自分の思いをうまく言葉にできない
- 指示が通りにくく、何度言っても同じことが続く
- 周囲の雰囲気に気づきにくい
- 一方的に話し続けたり、相手の反応を気にしなかったりする
友だちと関わりたい気持ちはあるのに、うまく調整できなくてトラブルになる・・・そんな姿、現場では日常茶飯事。
ここでも大事なのは、「わざとやっているのではなく、スキルの発達途中」という視点を持つこと。
対人面でつまずく子は、言葉の理解・社会性・感覚など、いろんな要素が影響していることがあります。
感覚や運動面での困りごと
行動の背景に「感覚」「体の使い方」が関わるケースも多いんです。
- 音や光に敏感で耳をふさぐ・逃げ出す
- 痛みや暑さ寒さに鈍感
- 姿勢が崩れやすい、よく転ぶ
- 手先が不器用で、生活動作に時間がかかる
- じっと座っているのが苦手
- 特定の感触や味を極端に嫌がる
一見すると、落ち着きがない、集中できないと映る行動も、実は 脳が情報処理に追われている だけの場合もあります。
感覚や運動の特性は、行動を読み解くうえで見逃せないポイント。支援方法もここが分かると大きく変わってきます。
こだわり・興味の偏り
最後は、こだわりや興味の偏りに関する困りごとです。
- 予定変更に弱く、パニックになりやすい
- 同じ遊び・同じ行動を繰り返す
- ルールに厳格で、融通が利かない
- 同じ質問を何度も繰り返す
- 切り替えがとても苦手
こだわりは悪いものではなく、不安をコントロールするための方法であることも少なくありません。
ただ、保育の流れに乗りにくくなる場合もあるので、その子の「安心」の形を理解することが大切です。

ここまで見てきた困りごとは、実はすべて 行動の表に見えているサイン にすぎません。大切なのは、その行動の裏側にどんな理由があるのかという 見立ての視点 を持つこと。
次の章では、そのために欠かせない4つの視点 を、分かりやすく整理していきます。
行動の背景を読み解く4つの視点|経験を理論で支える

最初にも伝えましたが、「気になる行動」には、必ず背景があります。
ここでは、発達支援の基本となる 4つの視点 を整理していきます。この視点があると「なぜこの子はこうなるのか?」が、ぐっと見えやすくなりますよ。
① 感覚の特性(感覚統合)
最初の視点は 「感覚の特性」 です。
「座っていられない」「動きが止まらない」「触られると怒る」こうした行動が見られる時、感覚の受け取り方に偏りがあるかもしれない と考えてみる視点です。
子どもは五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)に加えて、前庭覚(バランス) と 固有覚(体の位置・力加減) という感覚を使いながら、自分の体や環境を把握しています。

この感覚の受け取り方に偏りがあると、日常の行動に影響が出ます。例えば以下のような姿は思い当たりませんか?
前庭覚とは?
体の動き・スピード・傾きを感じ取る感覚。未熟だとバランスを取りにくく、逆に強い動きを求めることもあります。
固有覚とは?
筋肉や関節から得る「体の位置」「力加減」の感覚。弱いと、姿勢が崩れたり、ぶつかりやすくなったりします。
よくみられる感覚の特性(過敏・鈍麻・探求)
- 感覚過敏(音・光・触覚・においなどの刺激を強く感じやすいタイプ)
音が大きく聞こえて耳をふさぐ
服のタグや素材が気になって脱ぎたがる
食感やにおいの苦手が多く、食べられる物が限られる
砂・絵の具など手が汚れる活動を嫌がる
蛍光灯の光がまぶしくて落ち着かない - 感覚鈍麻(刺激が入りにくく、気づきにくい・反応がゆっくりなタイプ)
痛みに気づかず遊び続ける
力加減が難しく、友だちを強く押してしまう
暑さ・寒さの感じ方が弱い
呼びかけに気づかない、反応がゆっくり - 感覚探求(刺激を求めやすく、動きや触覚などを繰り返すタイプ)
じっとしていられず、常に動き続ける
回る・跳ぶなど強い刺激を好む
ずっと物を触っている、においを嗅いでしまう
何でも口に入れたがる
感覚の受け取り方に偏りがあると、このような気になる行動が見られることがあります。

あ、コレ当てはまるかもと感じた子は感覚的な刺激を受けやすいタイプということに気づけるようになります。
感覚の視点を使うときのポイント
感覚の特性は、性格やわがままではなく、脳の情報処理の特徴です。
- 「この子は刺激が強く入るタイプかもしれない」
- 「体の感覚が分かりにくいのかな」
こうした 可能性の目を持つことが、支援の第一歩 です。この視点を持てると、
- 声のかけ方
- 座る場所
- 活動の選び方
- 環境調整
など、支援の方向性が自然に決まります。
感覚の特性について、詳しくはコチラの記事ににまとめてあります。
保育士が知っておきたい”感覚の特性”とは?感覚過敏と感覚鈍麻の違いをやさしく解説
②認知の特性(理解・記憶・注意)
2つ目は認知の特性という視点です。
「言われたことをすぐ忘れてしまう」「指示がなかなか通らない」。そんな場面の背景には、情報の受け取り方・処理の仕方の特性が関係している場合があります。
行動そのものよりも、どんなふうに理解しているのか?どんなペースで処理できるのか?という視点で見ると、子どもの姿がぐっとクリアになります。
よくみられる認知の特性
- 聴覚情報の処理が苦手
口頭での指示が入りにくい。
「手を洗って、タオルで拭いて、席に座ってね」と伝えても、最初の1つしか残らない。 - 視覚情報の処理が苦手
絵カードや掲示を見ても理解しにくい。
情報量が多いと混乱することも。 - ワーキングメモリ(作業記憶)が弱い
一時的に情報を保持しながら行動するのが苦手。
複数の指示を同時に処理できず、途中で行動が変わってしまう。 - 注意の切り替えが苦手
好きな遊びに没頭すると、声が届きにくい。
過集中の状態になりやすい。 - 注意が散漫になりやすい
周りの刺激に気が向いてしまい、活動に集中しにくい。
認知の特性の関する実例
Aくん(4歳)は、「お片付けして → 手を洗って → お弁当の準備してね」と伝えても、お片付けの途中で別の遊びを始めてしまう。

これは言うことを聞かないのではなく、保持できる情報が1つだけになりやすい(ワーキングメモリの弱さ)の可能性があります。
押さえておきたいポイント
認知の特性がわかると、伝え方そのものをその子に合う形に調整する必要性が見えてきます。
- 聴覚情報が入りにくい
→ 絵カードや写真で視覚的に補う - 複数の指示が難しい
→ 1つずつ区切って伝える - 切り替えが苦手
→ 「あと5分だよ」など予告を使ってゆっくり移行する
これらは特別支援ではなく、理解しやすい形に整える=合理的配慮です。

支援のコツが見えると、子どもへの声かけもスムーズになり、クラス全体も落ち着きやすくなりますよ。
③ 環境の視点(刺激・動線・構造化)
3つ目は、環境が行動に与える影響を見る視点です。
「落ち着きがない」「片付けが進まない」「集団に参加できない」そんな姿の裏には、子ども自身ではなく環境が合っていないだけということがあります。
行動を見るとき、「この子はできない」ではなく「環境が分かりにくいのかも」という視点を持つことが大切です。
よく見られる環境による困りごと
- 刺激が多すぎる
音・光・人の動き・掲示物など、視覚や聴覚情報が多すぎると落ち着けない。
→ ザワザワした場所でソワソワする、泣き出す、隠れる。 - 空間の役割が曖昧
遊ぶ場所・片付け場所・集まる場所が分かりにくい。
→ いつまでも遊び続けたり、片付けの切り替えに時間がかかる。 - 動線が複雑
何をしたらいいのか迷いやすく、ウロウロしたり、目的地にたどり着けない。 - 視覚的な情報整理が不足している
掲示が多い/必要な情報が遠い/ラベルがない。
→ 「どこに戻すの?」「次なにする?」と戸惑いやすい。
これは子どもの問題ではなく、環境そのものが「分かりにくい」・「刺激が多い」状態になっているだけのことも多いんです。
押さえておきたいポイント
環境に注目すると、子どもが落ち着くための工夫が見えてきます。
- 刺激が多い
→ 視覚情報を減らす・音の調整・空間の分け方を工夫する - 動線が複雑
→ 目的地を近くする・動きが最短になる配置にする - わかりにくい
→ ラベル・写真・色分けなどで視覚的に示す
こうした調整は、特別対応ではなく環境を整理することで行動が変わる支援です。
行動を変える前に、まず環境を整える。それだけで子どもは驚くほど落ち着きやすくなります。
④ 関係性の視点(安心・信頼・つながり)
最後の視点は、子どもと大人・子ども同士の関係性から行動を捉える視点です。
「すぐ泣いてしまう」「かんしゃくが激しい」「攻撃的になる」こうした姿の背景には、安心感や信頼関係の不足が関係していることがあります。
行動を見るとき、「何がダメなのか」ではなく「何に不安を感じているのか」という視点が手がかりになります。
よくみられる関係性のサイン
- 不安が強い
初めてのことが苦手・新しい環境でかたまる・先生から離れられない。 - 過度に甘える or 距離を置く
抱っこを求め続ける/逆に大人を避ける・甘え下手。 - 情緒が不安定になりやすい
泣き崩れる・怒りが爆発する・気持ちが切り替えにくい。 - 他者との関わりが難しい
かんしゃく・乱暴・または極端に控えめで自己主張できない。 - 保育者への反応が二極化
特定の大人だけに頼る/誰にも頼れない/距離感の調整が苦手。
実例で考える
Bちゃん(5歳)は、最近お友だちとのトラブルが増えています。理由を深く探っていくと、家での生活リズムが崩れ、保護者との時間が十分に持てない状況が続いているようでした。
行動の背景にあるのはわざと困らせたいではなく安心を求めているサインかもしれません。
押さえておきたいポイント
関係性の視点で行動を見ると、まず満たすべきものが安心感であることに気づけます。
- できた/できないより、気持ちが安定できる環境をつくる
- 叱るより先につながる(共感・受容・予測可能な関わり)
- 一貫した対応やルールで、安心できる枠組みをつくる
- 必要に応じて、園内・外部機関と連携して支える
行動が落ち着かないとき、この子は困らせたいのではなく、安心したいんだと視点を変えるだけで、関わり方が大きく変わります。
気になる行動の背景を整理する|4つの視点チェックリスト
気になる行動を見たとき、まずはどの視点で見立てられるかを整理してみましょう。
① 感覚の視点(感覚統合)
チェック項目
▢ 音・光・におい・触覚などの刺激に過敏または反応が強い
▢ 砂・絵の具・粘土など、手が汚れる遊びを強く嫌がる
▢ 痛みに鈍感・力加減が難しい・ぶつかりやすい
▢ じっとするのが苦手で、常に動いていたい
▢ 回転・ジャンプ・強い刺激の遊びを繰り返す
➡︎ 当てはまる場合
感覚の特性が行動に影響している可能性があります。
② 認知の視点(理解・記憶・注意)
チェック項目
▢ 口頭指示が入りにくい/すぐ忘れてしまう
▢ 複数の指示が難しく、途中で違う行動に切り替わる
▢ 絵や情報量の多い掲示が理解しにくい
▢ 集中が続かない・または過集中になる
▢ 見通しがないと不安や混乱が強く出る
➡︎ 当てはまる場合
伝え方・情報量・進め方の調整が必要かもしれません。
③ 環境の視点(刺激・動線・構造化)
チェック項目
▢ 音・人・視覚情報が多い場面で落ち着きにくい
▢ 動線が分かりづらく、迷ったりウロウロする
▢ 活動場所・片付け場所が曖昧で混乱しやすい
▢ 集団場面で緊張や離席が増える
▢ 「次に何をするか」が分からないと不安が強く出る
➡︎ 当てはまる場合
環境調整(見通し・動線・刺激調整)が行動改善の鍵になります。
④ 関係性の視点(信頼・情緒・安心)
チェック項目
▢ 大人や友だちとの距離感が極端(近づきすぎる/避ける)
▢ 泣く・固まる・拒否・攻撃など情緒の揺れが大きい
▢ 新しい環境や変化に強い不安を示す
▢ 甘え方が極端/甘えたい気持ちが表せない
▢ 「安心できる大人」が限定的 or ほとんどいない
➡︎ 当てはまる場合
まずは安心できる関係(土台づくり)が優先です。
チェックしたあとに大切なこと
最後に大事なこともお伝えしておきます。それは、何個当てはまったかではなく、どの視点で見れば理解できるかを増やすこと。
行動を見る目が増えるほど、子どものサインが見えやすくなり、支援の方向性も明確になります。
まとめ|行動の理由が分かると、支援が変わる
気になる行動は問題ではなく、子どもが今どんなことで困っているかを教えてくれるサインです。
ここまで紹介した4つの視点
- 感覚の特性
- 認知の特性
- 環境の影響
- 関係性・情緒の安心
これらを持てるようになると、「なぜこの子はこうなるのか?」がぐっと見えやすくなりますよ。
「どうしてできないの?」ではなく、「どんな背景があるのかな?」と考えられるようになる。この視点の転換こそが、支援の質を大きく変えてくれます。
視点が増えるほど子どもの姿は柔らかく見え、保育者自身の関わり方にも迷いが減っていきます。後輩への指導も、保護者への説明も、より具体的で自信を持てるようになります。
そして何より、子ども自身が安心して過ごせる時間が増えていきます。
次の記事へ|支援を組み立てる実践ステップ
4つの視点がわかると、次に知りたくなるのは「じゃあ、実際にどう支援を組み立てる?」という部分だと思います。
次の記事では、
- 観察のポイント
- 見立ての組み立て方
- 環境調整・声かけ・合理的配慮の選び方
- 具体的なケースから支援を考える方法
など、明日から使える実践編としてまとめていきます。
📌 次の記事(予定)
「気になる行動から支援を組み立てる7ステップ(実践編)」
もず先生から皆様へ
保育の現場には、毎日いろんな子がいて、毎日いろんな出来事が起こります。うまくいかない日があって当たり前だし、迷うのも普通のこと。
だからこそ、
行動には必ず理由がある
という視点を持つと、関わりが驚くほど変わります。
子どもを困らせる存在ではなく、困っている存在として見られるようになるからです。

あなたの保育が、もっとラクに、もっと豊かになりますように。この記事がその一歩になれば嬉しいです。

