「何回言っても通じてない・・・」
「自分で考えて動けない・・・」
経験年数が上がるにつれて、新人保育士さんのことがそんな風に目に映っていませんか?
私自身も十数年保育士として勤務してきて、後輩をたくさん指導してきました。そんな経験談をもとに、「どのように新人保育士さんと関わっていったらいいの」という解決策を紹介していきたいと思います。
- 新人の指導方法について具体的に知りたい先生
- 自身の若いときはもっと先輩は厳しかったのに・・と感じている先生
- 初めて後輩ができた先生
目次
自分が変われば、他人も変わる
たった一つの方法と大げさなタイトルを書きましたが、極論、新人の教育は「自分が変われば他人が変わる」という概念に尽きると思っています。
他人は簡単には変わらない
新人保育士さんを指導するにあたり「教えても全然変わらない!!」と感じている方も多いのではないでしょうか。
他人を直接変えることは正直なところかなり難しいと思います。育ってきた環境も違えば、時代も違う。そんな大人を簡単に変えることは難しいんです。
なので、新人の教育も簡単にいくと思わないようにするといいと思います。
まずは自分を変えてみる
そこでまず、先輩先生の思考や行動から変えてみることをおすすめします。
よく心理学では、「自分を変えると、他人が変わる」と言われていますが、他人を変えようとする前に、自分の行動を変えてみてください。自分がポジティブな態度を持つと、周囲の人々もそれに影響されてポジティブな反応を示すことが多いです。
自分の行動や態度を変えることで、他人の反応や行動に影響を与えることが出来るという具体例を保育現場に置き換えてお伝えすると・・・
例:お片付けの時間
パターンA
「お片付けしてね~!!」と声をかけるだけ
これだと、なかなか子どもたちは片付けをしてくれないですよね。
そこで先生の行動を変えてみます
↓↓↓
パターンB
「一緒にお片付けするよ~!」と言って一緒に片付ける
パターンAのように声に出して言うだけでは動いてくれていなかった子供たちが、パターンBのように先生の言葉や関わり方を変えるだけで、子どもたちの姿がガラッと変わる情景が目に浮かんだのではないでしょうか?
つまり、新人保育士さんが全然変わってくれないと嘆く前に、自分が積極的に変わることで、結果として新人保育士さんも変わっていくというわけです。
でも、その考え方だけではちょっと難しい・・・何をどうしたらいいのか具体的に知りたいという声が聞こえてきそうなので、具体的な方法も5つお答えしたいと思います。
①新人の立場に立って考えてみる
まずは相手の立場になって考えてみましょう。
新人のためにと思って声をかけていることが、実は自分の考えの押し付けになってしまっている可能性があります。
何に困っているのかを知る
相手の立場になって考えるということは
「今、新人はどういう気持ちなのだろうか」
「何に困っているのだろうか」
「どんな不安を抱えているのか」
ということを考えることです。
相手の立場になって考えることで、自分の感情をコントロールすることが出来るようになります。
「ミスばかりで理解してくれない」からと言って、イラっとした感情に任せて叱責するのではなく、「なぜそうなったのか」を考えてみてください。
新人の今の知識量や、保育に関する技術・考え方などを踏まえて新人の立場から追体験として考えてみるのです。
②自分と比較しない
最近の若い子は基本的なマナーができていない・・・
自分が新人だった頃は、これくらいやって当たり前だったのに・・・
こんな考え方をしていませんか?
保育者の育成に、自分との比較は必要ありません!!
今も昔も大差なし!
昔はもっと良かったのに・・・
自分の若い頃はもっとやる気に満ち溢れていたのに・・・
という情報は果たして正しいのでしょうか?実際に研究されているデータを見ても、はっきりと昔と今の違いを断言できるデータはありません。
また、新人のやる気に関しても人それぞれであって、昔と昔の違いを決定づけるデータはありません。
ということは、昔はもっと良かったかどうかは根拠のないデータなのです。なので、裏付けるデータがないことは口にしないように気を付ける必要があるということです。
無意識のうちに登場する「過去」は、どうしても美化されてしまう傾向にあるということも忘れないでください。
マイナス面をプラスに
「最近の新人は繊細で打たれ弱い」というマイナスなイメージもプラスの捉え方をすれば「最近の新人は感度が高く、課題を自分のこととして真剣に向き合うことが出来る」と考えることもできます。
どうしても「できていない」という否定的な感情で見てしまうとマイナスな思考になってしまいますが、物事には両面があるということも意識できるといいですね。
③できていることに目を向ける
これは新人教育だけに限らず、子どもたちと関わるときにも大切にしてほしい考え方です。
「教えよう」「私の思うように動いてほしい」という感情が入ってくるとできないことばかりに目が向いてしまうです。
なので意識的に「できていること」に目を向けるようにしましょう。
褒める
「できていることに目を向ける」ために必要な行動は、ズバリ「褒めること」!!
新人保育士は失敗することが多く、自信を喪失しがちです。そのため些細なことでも、うまくできたらしっかりと褒めてあげるといいでしょう。
たとえ注意が必要な場面であっても、まずは肯定的なフィードバックから始めることが大切です。良かった点や成長した部分を称賛し、その後で改善点を指摘すると、新人保育士はより受け入れやすくなります。
自信を失いそうな時に褒められると、誰でも嬉しい気持ちになりますよね。なので、新人保育士がやる気と積極性を発揮できるよう、褒め言葉を効果的に使えるようにしましょう。
互いに認め合う
保育者を育成する際は、先輩保育士が一方的に育成しようとしても、あまり効果はありません。先輩がどれだけ必死になっても、新人が保育者として成長したいという前向きな気持ちを持ってもらう子をを最優先しましょう。
そこで大切なのが、「互いを認め合うこと」。
先輩だからこそできることや分かることもありますが、新人だからこそできることや分かることもあるんです。
そこを先輩保育士が素直に認め「褒める」こと。
どうしても目まぐるしい日常で、できることはできて当たり前・・・と通り過ぎて行ってしまいがちですが、お互いの良さを認めあえる人間関係を構築していくことも心掛けてください。
④指示は分かりやすく的確に
伝える技術
指示を分かりやすく的確にということは「伝える技術」にもつながってきます。
人に話を伝えるときは
- 前提を意識する
- 相手に何を伝えたいのか明確にする
- 分かりやすい言葉でシンプルに
- 具体例も添える
このようなことに意識しながら伝えるようにしましょう。
今、新人にどんなことを伝えたかったのか。まずは結論が大切です。伝えたいことがあるのであれば、その出来事に対する相手の前提を理解し、結論から伝えるようにしましょう。
また周りくどい言い方は避けてください。
その結論を裏付ける具体的な例もあれば、最後に伝えるとより、相手の理解が深まっていくでしょう。
ロールモデル
「先生は子どもの見本」
これと同じで、新人保育士の見本は今これを読んでくださっている先輩先生方です。
そういう意識を持って自分自身を見つめ直す機会を持つといいですね。
新人が真似をしたくなるような保育者になるためには「ロゴス・パトス・エトス」が必要と言われています。
- ロゴス: 論理的な説得(理論立てて相手を説得すること)
- パトス: 感情的な説得(熱く語って熱意で相手を説得すること)
- エトス: 信頼を得て説得(信頼してもらうことで相手を説得すること)
つまり、道筋立てて説明したり助言したりする力(ロゴス)、新人が成長していくことを期待しているという情熱(パトス)、新人が尊敬したくなるような人間性(エトス)
この3つを心掛けると、先生自身もレベルアップすることができますよ。
ぜひ「真似したい!」と思われる先輩保育士になってください!!
⑤スケジュールを明確に伝える
新人保育士はまだ一年間の保育の流れをしっかりと理解できていない可能性が高いでしょう。
見通しが持てていないため、どの仕事をいつまでに終わらせたらうまくいくのか。などの具体的はスケジュール管理が分かっていない場合があります。
仕事を溜め込まないためには、スケジュール管理が欠かせません。
そのため、予定管理のコツを教えるのも先輩の仕事です。
(例)10月の運動会の練習が夏休み明けから始まるから、夏休み前に曲を決めて、子どもたちに覚えてもらうように働きかけるといいよ。
(例)毎月最終週に月のおたよりを出すから、20日までにコメントを書いて渡してね。
このように、〇日に必要だから△日に出してね。など、具体的な数字を提示して伝える方法を取り入れましょう。
新人はどんな仕事をするにしても、先輩先生より時間がかかってしまいます。なので、もしやってほしい仕事があるのであれば、できるだけ早めに伝えるようにしましょう。
新人保育士が使えないという悩みを解決する方法のまとめ
自分が変われば、他人も変わる
基本的な考え方は個の一言に尽きます。
そしてその具体的な方法は
以上5つの方法をぜひ明日からの保育の現場に生かしてください。
子どもの姿が一日で変わらないのと同様に、新人保育士の姿も一日で大幅に変わることはありません。
みんな新人だった頃があり、先輩保育士の力を借りながらここまで成長してきたことでしょう。
「〇〇先生ってすごい!」「〇〇先生みたいになりたい!」そんな風に思ってもらえる先輩目指して、日々一緒頑張っていきましょう。
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