保育士間の連携が大切なことは分かってはいるけど・・・
どんな情報を相手に伝えたらいいの?
どこまで話すべきなの?
この話は必要なかったかな・・・
そんな悩みも出てきますよね。
そこで今回は、私の園の事例をもとに、どんな内容の情報を職員間で共有しているのか紹介し、リストアップしてあります。
ぜひ日々の保育に役立ててください。
目次
共有すべき情報チェックリスト
情報共有と言っても、何十人単位の子ども一人ひとりのすべての情報を毎日共有することは無理があります。なので園全体としての情報共有を大まかに2パターン用意しました。
- 年単位の大まかな情報
- 日常に必要な情報
この2つの項目で伝えあうべき情報をリスとアップしていきます。
大まかな情報共有
まず1つ目の項目は「年単位の大まかな情報」です。
その具体的な内容は以下の通り
- アレルギー・病気などの命に関わる情報
- 発達に関する情報
- 子供をとりまく背景
- 友達関係
4つに要点をしぼったので、詳細を認識してもらいたいと思います。
アレルギー・病気などの命に関わる情報
これは言わなくても当たり前のように情報共有されていることだと思います。
アレルギーのある子、持病のある子など、入園してくるお子さんの身体的情報は、命に関わる問題です。園全体として必ず共有しましょう。
正規・パート問わず保育園に勤務する職員は全員必ずです。
もしこの情報共有が不十分になってしまうと、子どもの命に関わる大きな事故を招きます。
給食の提供などの誤食を招く可能性もあるので、職員室など職員の目のつくところに分かりやすく記載しておくといいかもしれません。
発達に関する情報
近年は発達に少し問題のあるお子さんが増えていますよね。加配が付くような発達の子はもちろん、「この子少し気になるな」という子の情報も共有しておきましょう。
新入園児であれば、入園前の面談などで得た情報の共有を。在園児であれば、入園してからの状況をどの先生も把握しておく必要があります。
多動や衝動性のあるお子さんは、目を離さずに見ていないと、外に飛び出てしまったり友達に危害を加えてしまったりする恐れもあります。一人ひとりの発達状況は担任の先生だけでは対応しきれないので、補助の先生や隣のクラスの先生、給食の先生など、すべての職員で認知し助け合いましょう。
情報共有をし、助け合い(連携)をすることで、一人の先生への負担が減り、結果として保育者の離職率を下げることが出来ます。
子供をとりまく背景
何十人もの背景を理解することは正直難しいかもしれませんが、できる限り子どもたちの家族構成や祖父母が近くに住んでいるのか、進学する小学校はどこなのか、という情報は共有しておくといいでしょう。
これは、子どもをとらえる視点の参考にもなり、保護者との良好な関係にもつながります。
具体的には
- 一緒に住んでいる家族構成(兄弟・祖父母の有無)
- 住んでいる地域
- 進学先(未満児のみの園なら卒園後の保育園・幼稚園)
- 両親のおおまかな仕事先や勤務時間・性格など
このような情報を頭に入れておくことで、保護者への声掛けの内容や子供のちょっとした変化にも気が付きやすくなります。
④の保護者についてですが、過去にクレームを言ってきたことがあったりする場合は必ず情報共有しましょう。そのお子さんだけ特別にしっかり対応するということは少し違いますが、日頃から、保護者とのコミュニケーションをしっかりと取り、良好な関係を築いておく必要があります。
私も過去に小さな傷を報告し忘れ、保護者から「家に帰ってから気が付いたのですが、顎に小さな青あざができていました!家では転んでないので、園での怪我ですよね?」とお叱りを受けたことがあります。
友達関係
園にいるときの友達関係はもちろんですが、帰宅後の友達関係なども園全体として大まかに理解しておくと、その子どものへの理解が深まります。
年齢が高くなってくると、〇〇ちゃんとは遊びたくない!仲間に入れてあげない!など、交友関係のトラブルも出てくる可能性があります。
そんなときに交友関係をもとにクラス構成を考慮したり席順を配慮したりすることができ、対応がしやすくなります。
外遊びの時間などに他のクラスの先生もなんとなく気にかけてくれることで、お互いの保育をカバーしあえるようになります。これも保育士間の連携ですね。
日常の情報共有
日常の保育に関することは、できるだけこまめに情報共有をしましょう。
- 保育の内容・進行状況
- ケガや病気
- 家庭環境、近況の変化など
- 送り迎えをする保護者
保育の内容・進行状況
一人担任の先生も多いかもしれませんが、年齢が低くなるにつれ複数担任の場合が増えてきます。複数担任の場合は特に、その日の保育の流れや目的を共通理解する必要があります。
保育士の連携で一番難しいことがこの保育中の問題です。
毎日一緒に保育をしている先生同士なので、暗黙の了解で認識できていることも多いかしれませんが、中にはあまり理解できていない先生もいることでしょう。
それでは同じ部屋にいても連携が成り立ちません。
自分の手に負えないと判断したことは、常に声に出しましょう。こんなお願いをしたら迷惑かな?など後輩の立場だと言いにくいこともあるかとは思いますが、言いにくいとこを気にしていては事故につながる恐れもあります。
「Y先生!Uちゃんの怪我の手当てに行くので、保育室に入っていただいても良いですか?よろしくお願いします!」
こんな風にしっかりと要件を伝えましょう。
特に意識してほしいのが、自分の今からの動きを声に出すこと。「次は〇〇をするので、保育室の準備を手伝って下さい。」そういう声掛けの積み重ねで、次第にお互いに求めていることが分かり合えるようになるはずです。
また、行事などの練習は準備の進行状況もしっかり伝えあうようにしましょう。困っていること、悩んでいること、順調にできていること、などを共通認識しておくと、保育がスムーズに進みます。
ケガや病気
早番の先生、遅番の先生など、子どもが登園してきてから降園するまでのずっと同じ先生が関わるわけではありません。
自分が保育している時間に起きた怪我やトラブルなどは、メモに書くなどしてしっかりと伝えましょう。降園時にはその内容を保護者にも伝えてもらう必要があります。
病気で休むこと、休んでいたことも必要な情報です。
私の園では、一人一人に伝えるのではなく職員用の机に一冊のノートを置いています。日付と子どもの名前と書き、
- T君 登園時から、鼻の下に傷あり (母確認済み)
- K君 22日からインフル 29日から登園予定
- J君 鼻水が酷い(薬服用中)
こんな感じに箇条書きで書いていきます。そのノートは登園した先生から順にみることが出来るようになっているので、たくさんの人に毎回伝える必要もなくなります。
家庭環境、近況の変化など
家庭環境の変化は、子どもたちの精神的な部分に何らかの影響を与えています。仕事で母親の帰りが遅い日が続いていること、父親の転職により、いつもと生活のリズムが変わったこと、長期出張で不在なこと、妊娠したこと、下の子が風邪で園を休んでいること・・・
ちょっとした環境の変化に対し、子どもたちはとても敏感です。
そんな時に、どの先生も背景が分かっていればうまく連携がとれ、子どもの対応もスムーズにいきます。
具体例の紹介
担任Y先生
4歳児E君
門に立って迎え入れるU先生
この3人を事例に考えてみてください。
毎日泣いて登園してくるE君。
↓
U先生:「どうしたの?嫌な事があった?」
↓
(何も話してくれないな・・・ひとまず担任のY先生のところに連れて行こう)
この姿を見ただけでは、なんで泣いているんだろう?どうしたの?と声をかけて、状況の分かりそうな先生のもとへ連れて行くなどして様子を見るという関わりになりますよね。
でも実はこのE君、ママが仕事を転職したばかりで、帰りが遅かったり、家の中でピリピリとしていたりという背景があったと知っていたらどうなるでしょうか?
毎日泣いて登園してくるE君。
↓
(U先生の考察)ママが転職したばかりで忙しく、寂しい思いをしているのかな?
↓
U先生:「おはよう!今日も待ってたよ♡ママお仕事頑張ってるんだよね、でもちょっと寂しかったよね。ギューッ♡ママもE君も頑張ってるね!!Y先生のところ一緒に行こうか!」
こんな風に、E君の背景を少し背景を理解しているだけでE君にかけてあげる言葉が、グンとレベルアップしますよね。でもこれは担任の先生だけがE君の背景を理解しているのではなく、迎え入れの先生も理解しているからこその対応ですよね。
些細な出来事に見えますが、些細な出来事を見逃さず寄り添っていける保育が理想ですね。朝の先生が自分のことを見てくれていると思ったE君の心は、少し晴れたかもしれません。同時に、連れてきたママも担任の先生ではなくても、子どものことを理解してもらえている、と安心したことでしょう。
これも保育士間の情報共有があったからこその結果です。
送り迎えをする保護者
これに関しては、毎日連絡しあう必要はありませんが、基本的に誰がどの時間に送り迎えをするのかを共通理解するといいでしょう。
中には、勤務時間を大きく外れて送り迎えをしてくる保護者もいます。基本的には保護者の勤務時間に合わせた登園が望ましいので、あまりにも度が過ぎるようなら声をかける必要も出てきます。
また、送り迎えに来るはずではない人に受け渡してしまい、何かのトラブルに巻き込まれてしまうという事件にもつながりかねません。そのため、送り迎えをする時間と保護者については共通理解をしておくべきだと考えられます。
早番の先生、遅番の先生など、保育士の入れ替わりもあると思うので、「今日はおばあちゃんが迎えに来ます!」などのその日のうちに必要な連絡事項はメモを渡すなどして必ず伝え合うようにしましょう。
保育士間で共有すべき情報まとめ
保育の仕事は、「個」では成り立ちません。一人の保育者がどれだけ高い保育力を誇っていても、助け合いは必ず必要です。
子どもの最善の利益を考えた保育という目的はもちろんですが、個人的には「保育士の心」の部分にも着目していく必要があると思っています。
保育士間の関係が良い園にしていく行為は、結果として子供の最善の利益につながります。
- アレルギー・病気などの命に関わる情報
- 発達に関する情報
- 子供をとりまく背景
- 友達関係
- 保育の内容・進行状況
- ケガや病気
- 家庭環境、近況の変化など
- 送り迎えをする保護者
大まかにこのような項目にまとめましたが、これ以外にも、知り得た情報などは、ペアの先生や同じ学年の先生同士で共有できるといいですね。
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